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局という聖地へ、名局舎を求め、郵政書体を求め、彷徨う…鳳来山吉田類の郵局放浪記

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兵庫県丹波篠山市にある篠山乾新町局は、南西にある市内の東吹に移転するとのことで新築工事の入札公示が公表されていたのですが、工期であるはずの2024年4月を過ぎても音沙汰がありません。
その後、日本郵便(株)のサイトにて同局の移転・改称が公表されたました。2024年6月24日に実施され、新局名は「丹波山東吹郵便局」になります。そこで現地の様子を見に行ってきました。(2024/5/18)
https://www.post.japanpost.jp/newsrelease/storeinformation/detail/index.php?id=8905

福知山線篠山口駅前にある、観光協会が運営するレンタサイクル店で電動アシスト自転車を借りて出発します。篠山盆地は起伏が少なく、道路が狭いことを除けば自転車で廻りやすいです。
https://tourism.sasayama.jp/rental-cycle/

新局舎は篠山口駅から北東に約3kmの位置にあり、また路線バスもあり、訪れやすい場所です。県道299号大沢新東吹線沿いにはロードサイドの小売店や飲食店が並び、今どきの郵便局の立地としては妥当なところです。
県道を進むと右手に岡本病院が見え、左手に新局舎が見えてきました。岡本病院バス停が目印になります。付近は人家と農地が混在しています。

この日は外構工事中で、局舎前の駐車場では鉄筋が十字に組まれていていました。その後、コンクリートを流し込んで舗装することになります。局舎の建築物自体はほぼ完成しているようです。営業開始まで残り1か月ですが、間に合わせるべくラストスパートなのでしょう。
なお、郵便局の建設現場であることを示す標識類は見当たりませんでした。

そのまま県道を進んで、川を渡ると篠山の市街地に入ります。道路は細くなり、折曲がっていて、昔ながらの城下町であることを偲ばせてきます。新局舎から約1.5kmの距離です。
現局舎は市街地全体で見ると西側にあり、局前のバス停は「西町」といいます。木造モルタルと思われる単立局舎で、おそらく昭和40年頃の建築でしょうか。ATMコーナーは外付けのボックスタイプです。
土曜日の午前中だったためATMは営業中で、ATMコーナーに入りましたが、他事例でよくある移転・局名変更の告知文が貼られていません。もちろん局舎前の掲示板や外壁・窓・扉などにも貼られていません。(註:最終営業日まで)

近隣住民からすれば、郵便局が遠くに移転することは明らかなサービスダウンであり、局側からすればセンシティブな話であるため、できるだけぎりぎりまで告知を控えたいというのが局長の意向なのでしょうか。
移転自体は数年前から出ているため、地元ではおそらく知られてしまっている話だとは思うのですが。

篠山は江戸時代は城下町でしたが、明治以降は鉄道が通らず、市街地の近代化が進まず古くからの街並みが残され、良好な景観が残されているため、現在は重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

その後は篠山市街地を自転車で回りました。重伝建である河原町妻入商家群は古い商家が雑貨店やカフェなどに改装され、観光客が歩いていました。その中には篠山河原局もありますが、景観に調和した局舎になっています。
昔なら単なる古びた町だったのが、現在では観光に活用され、多くの観光客が訪れています。とはいえ景観を乱す意匠や色彩の建物は見当たらず、住民や事業者の不断の努力も窺えます。

篠山市街地には、城や市役所の近くに篠山局、市街地の西側に篠山乾新町局、東側に篠山河原局の3局があり、この規模の市街地なら決して多すぎないのですが、いかんせんモータリゼーションが進むと駐車スペースに乏しい局舎は使いにくいのが現状でです。
集配局である篠山局は局舎が古くて敷地が狭く、利用者の駐車は付近にある外部駐車場を勧めているため、ゆくゆくはこれらの局舎も移転の話が出てくるかもしれません。

https://maps.app.goo.gl/hAcUMbCN39zMkFeu6

 

 

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2021年4月28日より一時閉鎖中の、川崎千年局を見に行ってきました。(2024/4/21)

一時閉鎖:川崎千年郵便局(神奈川県) - 日本郵便


この当時、前触れなく急に一時閉鎖したため、地元では怪しく思われたものでした。

www.townnews.co.jp

先ず旧局舎ですが、様子は変わらず、縦型自立式のサインは橙色を残しています。
民地なので至近から室内を覗くわけにはいかないのですが、局で使われていた物品と思しきものが積まれたままになっているように見えました。

約1km南東の、同じ大字千年地内の別位置に新局舎を作っていて、新装工事の工期が4月だったのですが、ほぼ完成していました。
賃貸マンションの1階にあり、隣の工具店は3月にオープンしています。店舗用の駐車場が数台分設けられ、旧局舎よりは便利になります。

郵便局は文字類が白く覆われているのですが、局名が透けて見え、「千年神社前郵便局」と読めました。
掲示板には何も貼られておらず、オープン日などが記された告知類は見当たりません。

局名のもととなる千年神社は道路の斜め向かい側にあり、丘の上にあるので、急な階段を登らなければなりません。尤も、裏に坂道があり、本殿まで自動車で行くことができました。
神社の前に交差点があり、信号機には「千年神社前」とあります。

本件は再開・移転・改称なのかと思いつつ、その後電車の乗り換えのついでに溝ノ口ノクティビル内局に寄ったところ、貼り紙がありました。
この内容を、「開局情報(開局・一時閉鎖等)」風に記してみます。なお、既に1か月を切っていますが同サイトには掲載されていません。

開局情報(開局・一時閉鎖等) - 日本郵便

開局:千年神社前郵便局(神奈川県)
千年神社前郵便局を開局いたします。
お客さまのお越しを心からお待ち申し上げます。
名称
千年神社前郵便局(ちとせじんじゃまえゆうびんきょく)
住所
〒213-0022
神奈川県川崎市高津区千年664-1
取扱業務
郵便・貯金・為替・振替・生命保険・ATM
実施年月日
2024年5月15日

下見の際は、やはり近隣の局も見に行くべきであることを実感します。
再開ではなく、何と開局とのこと。そうすると川崎千年局は閉鎖中廃止ということになり、この距離での生まれ変わりは極めて異例になります。
まさかと思うのですが、旧川崎千年局や元局長などとの関係を断絶するために開局とするのか、部外者である筆者は真相を窺い知ることができません。

maps.app.goo.gl

 

 

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2019年一時閉鎖の旧伊参簡易郵便局

群馬県吾妻郡中之条町にある伊参簡易郵便局は2019年3月1日より一時閉鎖していました。
このほど、2024年5月1日に移転・再開・業務変更が公表されましたので、現地を見に行ってきました。(2024/4/13)

移転・再開・業務変更:伊参簡易郵便局(群馬県) - 日本郵便

移転先は、旧局舎の敷地入口の向かい側で、駐在所の並びにあります。
SVを見ると従前より空き地です。2021年当時はなぜかカマキリのオブジェが置かれていましたが、この日はありませんでした。

局舎らしき建物は駐在所に寄った場所に建っていて、ほぼ完成しています。
郵便ポストは玄関前に既に設置されています。
エアコンの配管が屋外に出ていて、室外機はこれから据付けられるようです。
郵便局たる表示は見当たらず、これから付けられるのでしょう。

この日は敷地の奥に乗用車が停まっていて、玄関扉は開いていて、中に人がいるようでした。
駐車場は舗装されるのかどうかわかりませんが、数台は確実に置けるように見えます。

旧簡易局はJAあがつま伊参支店が受託し、JAは伊参公民館に入居していました。
JAは2019年に閉店、公民館は2022年に移転し、その後解体され更地になっています。

同じ中之条町では、元JA受託の下沢渡簡易局が2022年3月1日に一時閉鎖し、2022年6月1日に移転・再開・業務変更しています。
同時にこの日から風景印を使用開始していて、かなり手際が良かったものだと思ったものです。
伊参簡易局でも再開当日より風景印を使用開始するとのことで、下沢渡の先例によく学んだのでしょう。

伊参簡易郵便局の風景印 - 日本郵便

Google マップ




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2024年4月22日(月)に、富士市にある富士水戸島局が移転し、富士駅前局に改称するとのことで、現地を訪れました。(2024/3/19)

移転・改称:富士水戸島郵便局(静岡県) - 日本郵便

東海道本線富士駅へ来たため、先に新局舎を下見します。
富士市(旧富士市)の中心市街地は富士駅の北口にありますが、新局舎は南口の駅前に建設された再開発ビル(ソシエル富士;富士駅南口地区優良建築物等整備事業)の1階にあります。
この建物は14階建てで、1,2階は店舗、3階はサービス付き高齢者向け住宅、4階から7階は有料老人ホーム、8階から14階は共同住宅となっています。2018年3月に竣工し、今年2024年で5年になります。

富士駅南口地区優良建築物等整備事業 | 静岡県富士市

SVを見ると1階は当初よりテナントが入っていなかったようで、ようやく入居できたというところでしょうか。
賃貸広告が現時点でも閲覧できますが、モータリゼーションが進んだ地方都市では、たとえ駅前でもテナント集めは苦労するようです。

www.takadakikaku.jp

 

この日は、新局舎の工事中で、外では自立式サインの設置工事、中でも内装工事が行われていました。出入り口は2か所も受けられるようです。
オープンまで1カ月近くになったため、おそらく完成に近くなったのではないでしょうか。
なお、この件は物件公募や、日本郵政(株)の新装工事の入札公告はありませんでした。

続いて現局舎へ向かいます。南西へ約550mの場所にあり、東西に通る道路沿いにあります。
平屋の単立局舎で、局名は郵政書体。昭和50年代前半の建築と思われます。
向かって右側に小さな駐車場がありますが、左側から入って奥にも広い貸駐車場があり、実際はこちらがよく使われています。

局内に入ると木質の内装で、時代感が際立ちます。朝9時過ぎの開店直後のためか他の客が絶えず出入りしています。
カウンターの上に、「郵便、電報」や「貯金、為替」などの取扱事務が独自の字体で書かれていて、この時代物の造作は是非とも郵政博物館に寄贈してもらいたいものです。(写真なし)

ちょうど支社から社員が来ていて、局長と移転の打ち合わせをしていました。
漏れ聞く限りでは、新局舎への家具什器の搬入は近日中に行われるようでした。
ということは、内装工事はほぼ完成なのでしょう。

移転・改称の告知は、室内の1か所と、ATM横に貼られています。局舎の外面や掲示板には貼られていません。
ちょうど支社社員が退出し、局長がカウンターに出てきて応対していただいたので、告知文を頂戴しました。
告知文の様式は所定のものではなく、独自のものです。(同日後刻に訪問した名古屋栄四局と類似していました)
他の客が数人いたため移転理由などは聞きませんでした。筆者のような好事家は毎日来るようになり、また郵頼も続々と到着しているとのことでした。
移転が無事完遂するよう祈念の意を局長に申し上げて局を後にしました。

https://maps.app.goo.gl/PXU86BYdUxpdtkEm6

 

 

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2024年2月28日に、「宇都宮ゆいの杜郵便局(仮称)新装工事」の入札公告が日本郵政(株)の「調達情報(建設・工事)」のウェブサイトに掲載されました。

宇都宮ゆいの杜郵便局(仮称)新装工事‐日本郵政

https://www.japanpost.jp/procurement/construction/koukoku_yuinomori0228.pdf

これによると、場所は栃木県宇都宮市ゆいの杜5-15-2、工期は2024年8月19日となっています。
2024年3月30日付で廃止される宇都宮一条局の生まれ変わりに違いありません。さっそく見に行ってきました。(2024/3/10)

ゆいの杜は宇都宮駅から東に約9kmの距離にあり、昨年2023年8月26日に開業した宇都宮ライトラインの沿線にある新市街地です。
宇都宮テクノポリスセンター地区と称し、芳賀工業団地に隣接する住宅地として都市再生機構土地区画整理事業を施行した新市街地になります。

これまでは宇都宮駅や中心地へはバスで出るしかなく、マイカーがないと到底暮らせないような場所でした。逆にマイカーがあれば郊外で生活が完結するため、中心地の衰退にも繋がっていたわけです。
郵便局事情としては、集配局である道場宿局まで約2.5km、無集配局である宇都宮清原台局まで約2.5kmと、郵便局の窓口サービスにあまり恵まれなかった場所であると言えます。

現地は、ゆいの杜地区を東西に貫く栃木県道69号宇都宮茂木線沿いにロードサイド商店が連なり、県道上に宇都宮ライトラインが走行しています。
ライトラインのゆいの杜中央停留場とゆいの杜東停留場の間、ゆいの杜東停留場寄りの南側にあります。
また、JRバスゆいの杜壁梨バス停がありますが、本数が1日2本とかなり少ないです。

SVを見ると、最も古い2014年当時はサンクスの駐車場の敷地であり、サンクスはのちにファミリーマートに変わりました。その後閉店し、店舗は解体され更地になります。

該当する地番の場所は、既に2階建ての鉄骨造の建物が建っていました。Yakultのロゴが掲げられ、事務所や店舗が入れるようになっています。
ファミリーマートの跡地は美容室が建てられていました。(2024年2月21日オープン

2024年3月1日にヤクルト清原台センターが移転し、ヤクルトサービスセンターゆいの杜に改称されています。建物の横や南側に社用車が数台停まっていました。

宇都宮ヤクルト販売株式会社(公式ホームページ)

この建物の1階、県道から向かって左側の区画が空いていて、中を覗くと内装がないスケルトン状態でした。
日本郵政(株)の入札公告では新装工事として、施設内の一部を郵便局に模様替する工事と記されているため、この場所で間違いなさそうです。

床面積は約130㎡と、窓口局(国営時代の無特)としてはおおよそ標準的な規模といえます。駐車スペースは既に整備され、建物全体で10台以上は停められます。
工期が8月のため、郵便局のオープンが9または10月になるでしょう。

maps.app.goo.gl

 

 

続 05728

こちらの続報です。(2024/2/24)

https://akitsunokitera.hatenablog.jp/entry/2024/01/07/165458

 

千葉市にある平山簡易局について、2024年2月26日(月)に移転、再開することが公表されました。

https://www.post.japanpost.jp/newsrelease/storeinformation/detail/index.php?id=8637

 

この日はオープン2日前になりましたが、業者が来ていて、作業をしています。

郵便ポストが新しく設置されるようで、段ボールに被われています。

局舎の外壁や敷地にサインや看板はなく、道路から奥まっていることもあり、客に見つけられない可能性があります。

当日はどうなっているか楽しみです。(なお私は行きません)

 

 

駐車スペースは3台分あるように見えます。右側の道路部分も同じく舗装されましたが、ここは公道でなく私有地内の通路です。

ここや付近の家屋を含めた一帯の土地は登記上一筆の土地になっていて、複数の家屋が同じ地番なので、郵便配達的には表札がないとお手上げになってしまいます。

 

旧局舎はそのままですが、郵便ポストに移転・再開の小さなお知らせが貼られています。

さすがに、このポストは「封鎖」されるとのこと。当然のことではありますが、単に使えなくするというニュアンスで、いずれは撤去するのでしょう。

 

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2024年2月26日(月)に移転し、大屋駅郵便局に改称する大屋郵便局です。(2024/2/11)

www.post.japanpost.jp

ここは、報道資料では「郵便局窓口業務と駅業務の一体運営の開始」と謳われていますが、駅業務は「特別企画乗車券などの販売、しなの鉄道に関する照会窓口(インターホン・電話番号)の案内など」とあり、現状無人駅なのが有人駅に復活というわけではなさそうです。
鉄道側、郵便側双方とも、単に同居するだけでは需要が増えるわけではないため、単なる話題作りや連携協定の結果アリバイ作りで終わらない次の一手を考えていかなければならないでしょう。

www.post.japanpost.jp

新局舎は大屋駅構内の駅舎を取り壊して新築されました。旧駅舎は明治時代に建築されたそうで、風格のある木造建築でした。新局舎は旧駅舎を髣髴とさせる平屋の局舎です。
駅舎なので駅の内外からそれぞれ入れますが、外から入ると、すぐ右手に郵便局の出入り口があり、左手に乗車券の券売機があります。通路には何も置かれていませんが、ベンチを置けば待合室にもなりそうです。

現局舎は駅前を通る国道152号沿いにあり、切妻造の、北海道によくあるような形状の屋根です。また局名は旧郵政書体で、おそらく昭和40年代の建築でしょう。
平成10年集配廃止の元集配局で、局舎横に扉があり、その上は屋根が掛けられています。
発着場は裏側の道路に通じている通り抜け式で、敷地は狭く、客用の駐車場は横の民家の前にある駐車場の一部を借りています。

日曜に行ったためATMコーナーは開いておらず、移転・改称の告知の紙が扉の内側の壁に貼られているのは確認できましたが、読めませんでした。外に掲示板がありますが、何も貼られておらず、局内に入らないと移転の事実は分からないことになります。
なお新局舎でのATMはホリデーサービスになります。

maps.app.goo.gl